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うるしが使われはじめたのは、はるか昔、縄文時代にまでさかのぼるといわれています。石器で木を削り、器などを形作り、その後漆を塗って使っていたと考えられています。
また、漆のもっている接着力を生かして、石器と木をつなげるものとして使っていたようです。
うるしは酸やアルカリ、アルコールなどにも強い性質をもち、何千年もたった今でもうるし塗りの器が発見されていることから、漆の丈夫さがうかがい知ることができます。
古代から受け継がれてきた日本のうるしは生活の中に生かされて、神社や仏閣にも漆塗りが使われ、わたしたちの身近なものとして大切にされてきました。

鳥浜貝塚の漆

福井県若狭に位置する鳥浜貝塚の遺跡から、縄文時代の赤色漆塗りのクシが発見されました。
材質はヤブツバキという堅い木でつくられ、前面に赤色の漆が塗られたものです。
漆が、縄文時代から使われ、高度な技術もあった証拠となる重要なものです。

人の交流と技術の伝承

越前漆器の技術は、様々な漆器産地の交流によって技術が高められてきました。
全国を歩いた漆掻き職人は、漆の特徴を知り尽くした技術を生かし、塗師になった人もいます。
丸物や角物木地は山中・輪島などから学び、蒔絵は京都から、沈金は輪島といった各地の産地交流によって技術が導入されてきました。
また、漆器づくりは職人さんと販売する人の協力体制により、支えられています。
そして、漆器は使う人の意見を受け入れて、新しい時代の商品が生まれて育っていきます。

漆器の伝統技術

日本の文化として伝えられた伝統技術は、暮らしの中に生き、生活の中で必要とされてきたものが伝承されてきました。
伝統は特別なものでなく、ふだんにつかえるもの、儀式の道具として伝えられたものなど、生活と離れることなく文化として成立してきました。
越前漆器も椀物にはじまり、報恩講さんという習慣の仲でお椀と箱物の宗和膳がつくられてきました。
これは、つくる人とつかう人の生活の中に生まれ育ったものです。
漆器と人の付き合いは、お互いが少し思いやることによって、長く使うことができます。使い捨てではなく、日本には手入れの文化があります。
こうした日本に育った漆器の文化をわたしたちは手入れをしながら大切に受け継いでいきたいものです。

伝統的な技術と近代的な技術

越前漆器産地の特徴は、柿渋でつくる「渋下地」と、美しく仕上げる「塗立」、そして業務用漆器の「樹脂製漆器」などがあります。
「渋下地」じゃ丸物などのお椀をつくる伝統的な技法で、柿渋に地炭粉や松煙を混ぜ、塗りと研ぎを繰り返す下地方法です。
「塗立」は、漆を刷毛で塗り、均一の厚さに刷毛目を残さないように仕上げます。
「樹脂製漆器」は旅館やレストランなど業務用が多く、全国の約8割を生産しています。このように越前漆器は、伝統的な技術と近代的な業務用漆器の産地として活性化しています。

樹脂製漆器

樹脂製漆器は、樹脂を原料に自由な形をつくることができ、スプレー塗装でさまざまな色をつけることが出来ます。
越前漆器は昭和の中ころから樹脂製漆器の生産をはじめ、産地の発展に大きな役目を果たしてきました。
現在でも樹脂製漆器の生産は日々の開発と研究を行ないながら時代に合わせた商品作りを行なっています。

渋下地

渋下地は、江戸時代より越前で行なわれてきました。
日常的に使われるお椀に柿渋と地炭粉といわれる炭の粉を混ぜて塗り、柿渋を塗りながら砥石で研ぎ、次に松煙と柿渋を混ぜたものを塗り重ねながら研ぎを繰り返していく下地方法です。
柿渋は乾くと非常に堅く、防腐性にも優れた天然の液体です。

塗立

「塗立」は、塗ったままの光沢を美しく見せる技術で、花塗ともいわれる高度な技術です。
イロイのように炭で研ぎ、光沢をだすのではなく、漆が本来もつ特有の光沢を活かしたものです。
漆を均等の厚さに塗り、刷毛のあとやチリ・ゴミが付着しないように塗り上げるには、熟練の技術が必要です。